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「頼朝が首をはねて、わが墓の前にかくべし」
-平清盛(たいらのきよもり)-


平忠盛の長男。平家一門の繁栄は、この清盛によって完成されました。
保元・平治の乱での活躍ののち、清盛は複雑な状況を乗り切りながら、ついには従一位太政大臣の位にまで上り詰めます。忠盛のころまでは武家のものが殿上に昇るということさえも忌み嫌われていた時代でした。まさに、一大変革期への突入だったのでしょう。


この清盛の出生については諸説ありますが、清盛は忠盛の子ではなく、白河院の胤であるというものが一般的なようです。かねてより白河院は、忠盛の思慮深さ・豪胆な振る舞いを非常に気に入っておりました。白河院が寵愛していた祇園女御のもとへ通うときに、供奉仕ったのは忠盛とその郎党だけ、という信頼ぶりです。白河院の心にかなった働きをした忠盛には、やがて寵愛の祇園女御(またはその妹とも)が下賜されます。しかし、その時すでに祇園女御は院の子を身ごもっておりました。院は「男なら、忠盛育てよ。」との言葉をかけられます。…はたして、生まれてきたのは男の子でした。このため、清盛は御言葉どおり忠盛の子として育てられたということです。なにごとも、貴種を尊ぶ時代―。このような話は民衆にも好んで受け入れられていたのでしょう。
 
平家物語では「不思議のことをのみし給へり」などと、その悪人ぶりばかり伝えられる清盛ですが、「十訓抄」「愚管抄」には清盛の柔軟さ、思慮深さが伝わる話が残っています。
実際の清盛は、他人を陥れたりしたことは一度もなかったばかりか、自分の家臣を声を荒げて叱ったことさえありませんでした。どんなにつまらない人間でも一人前の人として扱い、召使の子侍にもやさしい気遣いを見せる…。

 

そんな清盛に郎党たちは全幅の信頼を置いていました。彼らにとっての平家一門の魅力は、すなわち清盛個人の魅力でもあったのです。闘争の場を通じて得た郎党たちや、清盛の人間性に魅せられて主従の誓いを結んだ彼らは、清盛と自分たちの関係だけが唯一絶対と考え、そのように振舞い、それゆえに一門の公達輩とは相容れることができなかったのかもしれません。
 

また、清盛は非常に身内をかわいがる人でもありました。
建礼門院が安徳帝を出産する時の話です。難産に苦しむ娘の姿を見た清盛、時子夫妻は大変にうろたえてしまいます。
人が何を言っても二人はただ胸に手をおいて、「もう、ただただ、良いように、良いように」と、繰り返すばかり。このときの事を後に清盛は、「戦の陣なれば、あれほど臆すことはないものを」と語っています。
清盛はこのときに生まれた安徳帝を非常にかわいがり、安徳が指で突いた襖さえも大切にしまっていたそうです。

清盛は数々の偉業を成し遂げた人でもありましたが、中でも特筆すべきは厳島神社の改修、大輪田の泊の整備などがあげられましょう。
清盛は父の時代から盛んに日宋貿易を行っていました。この日宋貿易で一門は巨大な富を築くのですが、清盛はそれまで物々交換が主流だった市場に「銅銭」を導入し、新しい経済システムを取り入れようともしていました。


しかし、当時としては非常に先進的すぎる清盛の考えに時代のほうが追いついていけなかったのです。
清盛は少し、時代を早く生まれすぎてしまったのではないかと私には感じられます。


何につけても先進的な清盛がもう少し後の時代に誕生していたら…。

あるいは鎌倉政権ならぬ、福原政権なんていうこともありえたかもしれません…。

それほどに清盛という人物は魅力的で、多くの才に恵まれた非常に有能な人物であったからです。

大いなるゴッドファーザーともいえる清盛は、その死期にあたっても豪胆な言葉を残しています。
枕頭にはべる一門に残した清盛の遺言は、


「頼朝が首をはねて、わが墓の前にかくべし」


仏事供養などいらぬ。それこそが自分に対する最大の供養である。
今まさに、冥府へ赴かんとする人の言葉とは思えないような罪深い言葉ですが、何十万とする兵士を率いて動乱の時代を生きた清盛の強い意思がうかがえるような気がします。



 清盛の業績についてはこちらから…
      
      紫寝殿の鬼退治
      藤原経忠家盗賊征伐
      清涼殿あやしの大鳥退治
      厳島神社御改修
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