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清盛と漢方
漢方薬は、自然界にある植物や鉱物などのうち、薬効を持つものを一定の法則のもとに組み合わせて作られた薬です。
近年、漢方の良さがいろいろな分野で見直されているようですね。
日本に中国から医学が伝わったのは6世紀半ば。
平安時代には都の東の市に漢方専門の薬局が立つほど、広く民間にも伝わっていました。
さて、当時の清盛の邸、西八条殿には「蓬壺」と呼ばれる壺庭がありました。
清盛は蓬を愛し、多くの蓬をそこに植えていたといわれます。
蓬は生薬名を「ガイヨウ」といい、食用に用いられるほか、もぐさの原料にもなり、葉には止血作用、若い芽や株を干したものを煎じて飲むと健胃、腹痛、下痢、貧血、冷え性などに効果があるといわれます。
おそらく清盛も、その豊富な薬効は十分に周知し、活用していたことでしょう。
さらに、清盛は宋を相手に日本産の漢方の原料を多く輸出していました。
その原料とは「水銀」です。
古来は「丹(に)」とも呼ばれたこの鉱石は「賢者の石」とも呼ばれます。
中国医学では「朱砂」や「丹砂」と呼ばれ、鎮静・催眠に効く漢方薬として使われるほか、朱色の顔料にもなりました。
中国では古くから、不老不死の仙人になるための霊薬(仙丹)をつくる錬丹術が盛んにおこなわれていましたが、その原料の一つが、この水銀でもありました。
こうした理由もあり、水銀は日宋貿易における重要品目になりました。
平家一門、とりわけ清盛と漢方の意外なつながり。
健康だけでなく、富をも一門にもたらしてくれた重要なキーワードかもしれませんね。
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