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宝刀①

平家一門には不思議な由来を持つ武具がいくつか伝わっております。


その中でも特に有名なものといえば、平家の嫡流に代々伝わる小烏丸でしょう。

 

由来は桓武天皇の時代にまでさかのぼります。

ある日のこと。桓武天皇は南殿で東の空を至心に拝んでいました。
すると、いずこからか八尺もあろうかという大烏が床に舞い降りてきました。
桓武天皇はその神聖な様子に杓で烏を差し招いてみますと、烏は桓武天皇に近寄り、口を開きました。
「私は大神宮より、剣の使者として参りました。」
そう言って烏は羽繕いし、またいずこかを指して大空へと飛び立っていきました。
しかしそのあとには、一振りのすばらしい剣が残されていたのです。
桓武帝は自らこの剣を手にとり、その威光に思わず声を漏らします。
「大霊鳥の羽の中より授かったこの剣、小烏丸と名づけよう!」
桓武帝に小烏丸を授けたのは、記紀神話に現れて道案内をする八咫烏でありました。
以来、天皇家を守護する霊剣として長らく宮中にあった小烏丸ですが、平将門、藤原純友の鎮圧に向かう大将軍・平貞盛に授けられ、平家の重宝となったのでした。
 
この小烏丸、実は現代にまで伝わっており、今なお天皇家を守護しております。
皇室御物であるため私たちが直接拝することは叶いませんが、その長さは62.7センチ、刀身にわずかに反りがある刀なのだそうです。
また刀の中ほどまでは剣のごとく両刃(鋒両刃造り)でありながら、刀のように身が反っているという面白い形状をしています。

面白いといえば、もうひとつ。
小烏丸を授かる7日前のこと。平家に伝わる唐革という鎧が誕生しています。
この唐革という鎧は不動明王の7つの鎧の一つなのですが、香円法師と呼ばれる人が内裏で修法をしている際に天から降ってきたという由来を持ちます。
神仏より与えられた唐革は、小烏丸とともに重宝として宮中にあったと伝えられています。
 

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